旅の思い出が、心の元気を取り戻すきっかけに。JTBが届ける“対話型”旅行プログラム「こことり®」の可能性

担当者

坂上 琢

ビジネスソリューション事業本部  メディカル事業部 営業開発プロデューサーヘルスケア領域の社会課題解決、顧客課題解決を目的とした事業開発、営業開発に従事

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坂上 琢

ビジネスソリューション事業本部  メディカル事業部 営業開発プロデューサーヘルスケア領域の社会課題解決、顧客課題解決を目的とした事業開発、営業開発に従事

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起案の背景と思い

「きっかけは、私が以前、大きな病気で1年弱休職し、長期入院を経験したことでした。医師や看護師の方々には大変よくしていただいたのですが、皆さんお忙しいので、ゆっくりお話をする時間はほとんどありません。人と話す機会がない毎日、一人で悶々と過ごす日々が続くにつれて、どうしてもネガティブなことを考えてしまい、気持ちが沈み込んでいくのを感じました。」

「JTBには「旅のチカラ」という言葉があります。弊社は、旅行が持つ非日常体験を通じて、人の心や行動に前向きな変化をもたらすと信じてきました。そして、病気と闘っている人や気持ちが塞ぎこんでいる人が、実際に旅に出なくても、旅に思いを馳せることで、笑顔が生まれ、心の元気を取り戻せるのではないかと考えたのです。」

過去の旅を語り、未来の一歩を踏み出す。【対話型】旅行プログラム こことり

※本サービスは、利用者の心理的援助を行うことを目的とするサービスではありますが、利用者の心身の健康改善および問題解決を保証するものではありません。

関係者コメント ※当時所属

早稲田大学 人間科学学術院 人間科学部 教授 鈴木 伸一 氏

旅はなぜ、心に効くのか――行動と感情をつなぐ仕組み

 行動活性化療法※は、主にうつ病の方への支援法として体系化されてきた心理療法の一つです。私たちは不安や落ち込みを感じて元気がないとき、「何もしたくない」「やる気が出ない」と活動性が低下してしまう傾向があります。この「活動性が落ちる」という状態が、心の不調をさらに悪化させる悪循環の入り口になり得るのです。

※「こことり®」は医療行為や心理治療を目的としたサービスではありません。日常のウェルビーイング向上をサポートするプログラムです。

 活動性が低下するということは、プラスの感情を得るチャンスが減ってしまうことを意味します。結果、マイナスの感情ばかりの中で過ごすことになり、「何をしても無駄だ」「楽しめるはずがない」という考えに囚われてしまうのです。

 プラスの感情を増やすアプローチとして旅が有効なのは、旅は「活動の集合体」であるという点が大きく関係しています。数ある思い出のなかでも、旅はさまざまな活動の積み重ねで成り立っています。計画を立て、目的地へ移動し、現地で何かを見たり食べたり、人と交流したり……。その中には、たくさんの「楽しかった思い出」があります。 

旅の体験を振り返ることは、「自分の行動が嬉しい感情や楽しい体験につながっていたんだ」と、行動と感情の結びつきに気づくための絶好のテーマなのです。


実証試験のデータから見る「こことり®」の価値―幸福感が向上し、それが持続。

私たちはサービスの公開に先立ち、20歳から75歳までの男女71名を対象に、プログラムの効果を検証する実証試験を行いました。その中で変化 がみられたのは「主観的幸福感」という指標です。これは、現在の生活がどのくらい充実しているか、幸せだと感じているかを示すものです。 

下の左グラ フから分かるように、プログラムに参加したグループは参加しなかったグループと比較して、主観的幸福感の得点が統計的に意味のある形で向上しました。さらに、下グラフが 示しているように、その状態はプログラム終了から数週間が経過したフォローアップの時点でも維持されていることが確認できました。


得点の上昇幅自体は、28点満点中の2点程度であり、決して大きな変化ではありませんが、「参加者様が、自身の生活を肯定的に捉えるきっかけを作ることができた」と解釈することができます。

さらに重要なのが、「プログラムの効果が終了後も持続した」という点です。これはいわば、プログラムによる一時的変化ということではなく、 今後につながる心のベースラインが少し上がった状態です。だからこそ、セッションが終わって数週間経っても、その肯定的な気持ちが残っていたのではないかと考えています。


 今後どのようにしていきたいか

人々のウェルビーイングを高める新たな一手として。「こことり®」が目指す未来

坂上さんのコメント

鈴木教授から私に「一般的なメンタルケアが“不安を減らす”アプローチだとすれば、『こことり®』は“楽しみを増やす”アプローチだ」と語ってくださったことがあります。

 現に、ある高齢者の参加者様は、プログラムをきっかけに「旅行に行きたい」といって、介護付きの旅行を手配されていました。このような事例を、幅広い年齢層の方々に届けていきたいです。

 また、ストレス社会の最前線で働くビジネスパーソンにも、このプログラムは大きな価値を提供できるのではないかと考えています。将来的には企業の健康経営や福利厚生の一環として、JTBが持つ他のソリューションと「こことり®」を組み合わせ、トータルで皆様のウェルビーイングをサポートする形を模索していきたいと考えています。

 鈴木教授のコメント

現代の企業では、ストレスチェックの実施が義務付けられるなどメンタルヘルス対策への意識は高まっています。しかし、これらの多くは「あなたがどれだけストレスを溜めているか」というネガティブな側面を可視化するものです。結果を知らされても「じゃあ、どうすればいいんだ」と途方に暮れてしまう人も少なくありません。

 仕事でしんどいときに「仕事で充実していることは?」と聞かれても、答えられる人は限られています。一方、「今までで一番楽しかった旅の話を聞かせてください」と問われれば、人は今の自分と切り離して思考を巡らせることができるか[佳古1] もしれません。

 「こことり®」は、ネガティブを減らすのではなく、自分の中にあるプラスの感情を取り戻すという、まったく違う軸からのアプローチだと思います。

 このプログラムが、楽しかった旅の記憶を呼び覚ますだけでなく、「自分の行動が自分を幸せにする」という感覚を思い出すきっかけになってくれたらと願っています。自分を軸とした幸せのあり方を見つける一助となる可能性が、「こことり®」にあると信じています。


関連URL

対話型】旅行プログラム こことり™事業 実証試験を開始 旅をテーマにした対話を通じ、元気なこころをとり戻す

https://www.jtbcorp.jp/jp/newsroom/2024/08/28_jtb_kokotori.html

法人サービスサイト 元気なこころを取り戻す“対話型”旅行プログラム「こことり®」

https://www.jtbbwt.com/business/service/solution/benefit/health-support/kokotori/

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山口 裕幸

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九州大学 名誉教授
京都橘大学 特任教授

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